定山渓温泉の最初の公園といわれる「二見公園」、園内には定山渓温泉のシンボル『かっぱ大王』の像があり、夏の夜は公園から二見吊橋の間をライトアップする『JOZANKEI NATURE LUMINARIE』の会場になります。また散策路である「二見・定山の道」の起点となっており、二見吊橋からは望むかっぱ淵には、二見岩と呼ばれている二つの岩山があります。
故郷への思い
「二見公園」は定山渓温泉の開祖美泉定山の湯治場経営を明治13年(1880年)に引き継いだ佐藤伊勢造の命名と伝えられています。佐藤伊勢造は個々の景観が自分の故郷、伊勢の二見が浦に似ていたことから、この一帯を「二見公園」と名付け、二つの岩を夫婦岩と呼んで、故郷を偲びつつ、定山渓温泉の発展を祈ったといわれています。
まぼろしの滝
ほとんど知られていませんが、二見公園内にはかくれ滝があります。かくれ滝は白糸のようにか細い流れの滝ですが、雨のあとでも水は驚くほど澄んでいます。木々の間から差し込む光を浴びて舞い散る水しぶきが美しくきらめき、まさしく一条の帯となって流れ落ちています。こうした美しい姿をはじらうようなかくれ滝は本来、二見公園になくてはならない象徴としても大切なところです。
ここは5月にエゾハルゼミが真先にかまびすしく鳴き出し、次いでミンミンゼミが夏から秋にかけて好んで鳴く所なのです。ミンミンゼミの鳴き声にさざ波のような細い滝の音が斬り込むと凡常が崩れ、この世とは思えないような清澄な刻の流れに浸ることができます。
定山渓とミンミンゼミ
「二見公園」といえば、やはり「ミンミンゼミ」のことを避けては通れません。平成22年(2010年)3月26日、北海道新聞朝刊紙上に「定山渓にミンミンゼミ」との大きな見出し文字が踊りました。九州から北海道南部にかけての温暖な土地を好むミンミンゼミが定山渓温泉にも生息していることが、札幌市の調査で初めて正式に確認されました。調査時、ミンミンゼミの抜け殻、3個が発見された場所が二見公園内だったのです。
鳴き声がそのまま名前になった「ミンミンゼミ」は、鎌倉時代のころには「見う見う」と聞かれていました。現代語に訳すと「会いたい、会いたい・・・」。短い命を恋に焦がれて鳴き通す「見う見う蝉」の祈りが夏の二見公園にこだまして、いよいよ幽玄なるかくれ滝です。どうぞ静かにそっとのぞいてみてください。
ミソサザイやコマドリ、クロツグミなどの小鳥たちがさえずり、オオルリボシヤンマやムカシトンボなどの貴重なトンボ類も生息しています。
ムカシトンボは1億5千万年も前のトンボの化石とほぼ同じ姿をしていることから、生きている化石といわれているトンボです。幼虫は冷たく清澄な渓流にすみ、14回も脱皮を繰り返して7~8年で成虫になるといわれています。
インフォメーション
- 備考
- 冬季は積雪のため二見吊橋まで行けません
カテゴリ
- エリア
- 定山渓
- 区分
- 観光, 自然, フォトスポット
- 施設
- 散歩, 無料
- 設備
- 公園, 散策路